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​ミラドライ
「ミラドライ」は2010年に米国Miramar社が開発した、多汗症・腋臭症の治療機器です。
 
この機器は、皮膚上から5.8GHzのマイクロ波を照射することにより、皮膚や筋肉など他の組織に許容範囲以上の損傷を加えることなく、多汗症、わきがの原因である、エクリン汗腺とアポクリン汗腺を破壊することを可能にしました。また、その効果は半永久的だと考えらえています。
2011年に、アメリカ食品医薬品局(FAD)に多汗症治療器として認可され、日本、北米、欧州などに普及し、2018年には、厚労省の薬事承認も取得しました。すでに世界中で、約20万人の方がこの治療をお受けになっています。
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​汗腺に関して
汗腺は、図のように、皮膚の深層から脂肪層にかけて存在します。

エクリン汗腺は、ワキに限らず、ほぼ全身の皮膚に存在します。エクリン汗腺から出る汗の成分は、ほとんど水分で、体温調整に関与しています。アポクリン汗腺は、思春期から活発に働き始め、ワキや耳孔、乳輪、陰部など限られた部分に存在します。
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臭いの原因
「ワキガ」とは、ワキにあるアポクリン汗腺から出た汗や皮脂が、皮膚常在菌によって揮発性ステロイド、不飽和脂肪酸などに分解されて、特有の臭いを生じるものです。
​発症時期
通常、ワキ毛が生えはじめる思春期に発症し、20代の頃にピークを迎えます。その後、壮年期以降には軽快する傾向にあります。成人になってから、突然、腋臭が発症することはありません。また、優性遺伝であり、両親のうち少なくともどちらかが「ワキガ」もしくは「湿った耳垢」の特性を有しています。
頻度
人種により腋臭の発生頻度は異なり、日本人の場合は、欧米人に比べてかなり低く、10%程度というデータがあります。
​ミラドライのテクノロジー
ミラドライはマイクロ波によって、エクリン汗腺とアポクリン汗腺を同時に破壊します。
マイクロ波というエネルギーソースを用いた治療自体は、腫瘍に対するスタンダードな治療の一つとして多くの施設で数十年前から実践されています。そのため人体に対する生体反応は長く研究されており、信頼性の高い技術と言えます。
汗腺を選択的に破壊できるのは、ミラドライで用いられているマイクロ波の周波数特性によります。組織は周波数に依存して比誘電率、導電率が変化しますが、ミラドライが使用している5.8GHzの周波数では、比誘電率・導電率ともに皮膚の方が皮下組織(脂肪)よりはるかに高値となります。

結果として、皮膚上で照射されたマイクロ波は皮膚と脂肪組織の境界面で反射されます。そのため、この反射波と皮膚面から照射されたマイクロ波が汗腺組織の存在する層付近(皮膚と脂肪組織の境界面のやや浅層)で強め合う干渉を起こすことになります。この現象を利用し、汗腺組織に集中して熱作用が生じ、その他の組織には許容を超える熱量が加わらないような設計となっています。つまり、汗腺を選択的に破壊することができるということです。
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​当院のミラドライの特徴
​広範囲かつ高エネルギー量の照射
安全で適切な範囲で最大限の治療を行い、各人の状態に応じて、重複照射も行い、治療効果を高めています。
​そのため治療時間は通常より長く、丁寧に行わせていただきますので、ご了承ください。
​院長が、診察から治療、フォローまで一貫して行います
現在、ミラドライによる治療は部位別に治療強度を変えたり、重複照射をするのが一般的になっていて、適切な判断が要求されます。また、海外で神経損傷の有害事象報告が数件報告されています。
 
よって、看護師などスタッフに治療を丸投げし、細かい治療手技の裁量を任せるべきではないと考えています(漫然と重複照射すればいいというものでもありません)。
 
当院では、例外なく院長が治療を行います。
 
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診療の流れ
​初診
多汗症または腋臭症の程度を診察にて確認いたします。また、治療法、治療効果、治療後の注意事項、ダウンタイム、併発症、費用などを詳しくご説明いたします。

注:診察日当日は、制汗剤の使用は控えてください。長期作用型の制汗剤をお使いの場合は、その有効期間に応じて使用を中止してください。
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​剃毛
ワキの永久脱毛をされていない方の場合、治療の3日前に腋毛の処理をしていただきます。また、剃毛による切傷により蜂窩織炎(感染症の一種)も報告されていますので、清潔な器具で慎重に行うようにしてください。
​治療当日
​麻酔
治療範囲を決定した後、局所麻酔注射を行ないます。痛みを抑えるために極細の針を用い、注入法も工夫をしています。ご希望の方には、さらに麻酔注射の痛みを和らげるための麻酔クリームを事前に塗布しますが、この場合、30分ほど余計にお時間をいただき、別途2,000円(税別)が必要になります。*基本的に麻酔クリームは不要だと考えていますが、ご不安な場合は遠慮なくお申し出ください。
マーキング
治療を安全、確実に行なうため、マーキングを行ないます。治療は、安全・適切な範囲でできるだけ広範囲で行います。
​マイクロ波照射
マイクロ波を照射していきます。皮膚をつままれる感じや暖かい感じはありますが、痛みを感じることは、ほとんどありません。安全性を十分確保したうえで、適切な治療強度で治療を行っていきます。
​治療直後
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15分ほど冷却を行います。包帯・固定などの後処置は不要です。念のため、治療後の内服薬として、抗菌薬と鎮痛剤を処方いたします。 注:冷却用の保冷剤を2つ差し上げますが、交換用に腋に挟める程度の大きさの保冷剤(冷凍庫に入れても固くならないタイプのもの)を、あらかじめ2つご用意ください。直接、腋にあてられますと凍傷の危険がありますので、ガーゼなどで覆ってご利用ください。
ダウンタイム、併発症
術後1時間ほどすると腋に痛みが生じますが、ほとんどの場合、冷却だけで治まります。当日は予定など入れずに、すぐに帰宅されて安静にお過ごしください。事務系のお仕事の方でも、翌日はお休みをおとりになることを強く推奨します。

その後、ワキとその周辺(腕、胸部)に腫れ・むくみが生じて、経時的に手や腹部の方まで下降してきますので、肩まわりのゆっくりした長袖の服をお召しになってください。腋にボールが挟まったような違和感があり、腋を閉じることが困難になりますので、腫れが顕著な間は乗り物の運転はなさらず、治療後1週間は、飲酒、入浴も控えください。シャワーは当日から可能ですので、治療部位を清潔に保つように留意してください。また、スポーツ・運動は1か月はお控えください。
 
まれながら、治療1~2週間後に感染症が生じることもあります(1%未満)。異常をお感じになったら即時ご連絡ください。
 
なお、治療後しばらくすると、皮膚・皮下脂肪層と筋膜との癒着が生じ、皮膚の固さ、腋がつっぱる感じや索状物が見られることがありますので、治療4週間後頃から腕のストレッチを徐々に始めていただきます。

腋の皮膚の凹凸、しこりが現れますが、1~2か月で自然に改善します(個人差はあります)。

腋の知覚鈍麻や軽いしびれ感、色素沈着が生じることがありますが、3~6か月で自然に改善します(個人差はあります)。もし、治療経過で気になることがございましたら、随時院長がフォローいたします。
また、再診料は不要です。
​治療をお受けになれない方
・妊婦の方、授乳中の方
・ペースメーカー等医療電子機器が身体に留置されている方
・はずすことができない金属製装身具をつけている方
・刺青のある方
・ケロイド体質の方、糖尿病などで傷の治りが悪い方
・麻酔薬アレルギーがある方
・加療中の病気がある方
・治療部位に病変がある方
・医師が治療の適応がないと判断した場合

また、
・多汗症、腋臭手術の既往がある方
・広範囲リンパ節郭清手術を受けたことのある方
・腋窩切開による乳房再建術を受けたことのある方
・痩せている方などで皮下脂肪がほとんどない方
・肥満の方
・大豆アレルギーのある方(テンプレートのインクが大豆インクのため)
などは治療がお受けになれない場合があります。
​治療費

モニター治療     260,000
​再治療          160,000 
​(いずれも税別となります)

モニターの方には治療後2回アンケートにご協力いただきます。
メールによるやりとりですので、来院義務はありません。
​また、個人情報やお顔がメディアなどに顕れることはありません
​Q&A
Q. ミラドライでは傷が残るのでしょうか?
 
A. ミラドライ治療はメスを使用したり、皮膚に穴を開けたりすることはなく、局所麻酔後にマイクロ波の発生素子を皮膚にあて照射するのみです。そのため浮腫、皮下出血、皮膚の凹凸(小腫瘤、小結節)、硬化、索状物、感覚の変化などが一時的に生じることはありますが、感染症などのトラブルが生じない限り、基本的に傷は残りません(感染症が発生した場合は、切開を含む処置が必要になる場合があります)。
Q. ミラドライはマイクロ波という電子レンジと同じ原理だそうですか、ヤケドすることはないのでしょうか?
 
A. ミラドライにより発生するマイクロ波は、皮膚下層~皮下組織上層に存在する汗腺組織をターゲットにして、その部分に熱が集中するようにつくられています。さらに、マイクロ波の照射中及び照射後に皮膚を強力に冷却しますので、熱傷が生じることは基本的にありません(ごくまれに発生します)。
Q. レーザー脱毛を受けていますが、ミラドライはできますか?
 
A. ミラドライ治療は、直近のレーザー脱毛から少なくとも1か月ほど間隔をあける必要があります。また、ミラドライ後は、基本的に3か月間はレーザー脱毛をお受けにならないでください。なお、ミラドライ自体にも減毛効果があります。レーザー脱毛が可能か否かは皮膚の状態にもよりますので、脱毛前に一度診察をお受けになってください。
Q. 黄ばみもなくなりますか?
 
A. ワキの黄ばみは、アポクリン汗腺と皮脂腺が原因であると考えられます。ミラドライはアポクリン汗腺に対しては効果がありますが、皮脂腺に対する効果は、明確にはわかっておりません。よって、黄ばみは、ミラドライによって、ある程度改善はしますが、完全になくなるわけではありません。
Q. ワキ毛は減りますか?
 
A. マイクロ波により汗腺組織のある層に高熱が発生しますが、汗腺組織と毛は比較的近接しており、伝導熱により毛の周囲に存在する毛を作る細胞に影響を与える場合があります。減毛の度合いは個人差がありますが、一般的に60~90%ほど減少します。
Q. ミラドライは未成年でもできるのでしょうか?
 
A. ある程度身体が大きく、治療内容やダウンタイム、デメリットを十分理解されて、治療にご協力いただければ治療自体は可能です。しかし、身体の成長過程において、汗腺組織が再生することがありえます。よって、未成年の方は再治療を受けなければならない確率が成人より高くなります。
Q. 片側だけでも治療できるのでしょうか?
 
A. 可能です。費用は、通常の治療費から減額いたしますのでクリニックまでメールでお問い合わせください。
Q. 多汗症・ワキガの手術ではないのですが、他の手術で傷跡が残っています。このような場合、ミラドライはできるのでしょうか?
 
A. 手術やケガなどで、ワキに傷跡がある場合、診察のうえミラドライが可能かどうか判断させていただきます。ただし、広範囲リンパ節郭清手術を受けたことのある方、腋窩切開による乳房再建術を受けたことのある方には本治療は推奨できません。
Q. ペルラクリニックでは、ミラドライは誰が施術をするのですか?
 
A. 院長がすべての方の治療を行ないます。確かに機器の操作、手技自体は簡便ですが、効果を最大化し、デメリット・トラブルを可能な限り抑えるためには、全工程を医師が行うべきだと考えています。
Q. ミラドライは、痛くないのでしょうか?
 
A. 麻酔注射の際は、チクチクする痛みや、皮下に麻酔薬が浸潤する際に多少痛みがありますが、耐えうる痛みです。痛みに敏感な方には、高濃度キシロカインクリームを事前に塗布してから行ないます(別途 2,000円・税別 が必要です)。ミラドライ治療そのものは通常痛みは伴いません。まれに熱さやしびれ感をお感じになることもありますが、麻酔を追加したり、適時機器を調整をして安全な治療を心がけています。
全身麻酔などの意識がなくなる麻酔は、治療をお受けになる方からのフィードバック(痛い、しびれるなどの反応)が得られなくなりますので危険だと考えています。そのため当クリニックでは行っていません。
Q. ミラドライ治療前に準備することがありますか?
 
A. ワキ毛は治療の妨げとなることがありますので、3日前に処理して頂くようお願いしております。特に、男性の方は不慣れだと思いますので、皮膚を傷つけないようご注意ください。皮膚を傷つけたり、不潔にすると、当然ながら感染症の原因となります。
Q. ミラドライが終わった後、包帯固定などするのでしょうか?
 
A. しばらく冷却し、その後、お帰りになれます。包帯・テープ固定などは不要です。日常生活上の動きは可能ではありますが、治療後1週間は腫れ・むくみが強く出ますので、動作がスムーズにできないこともあります。そのため、車、バイク、自転車等の運転はお控えください。
Q. ミラドライの治療後、何日くらいで普通の生活に戻れますか?
A. 治療後数時間すると、腋やその周辺(胸部や腕)にむくみ、腫れが生じてきます。飲酒や入浴など、血行が良くなるようなことは、腫れが治まるまで(1週間ほど)は控えてください。また、腫れが強い間は、腋にボールが挟まったような感覚になります。腕の動きがスムーズにできない場合がありまのすので、車やバイク・自転車の運転はお控えください。なお、本格的なスポーツは基本的に治療後1か月間はお控えください。

※ 治療後の状態がご心配であれば、随時診察させて頂きます(再診料は無料です)

Q. ミラドライによるトラブル(併発症・合併症)はどのようなものがありますか?
A. これまでの治療経験や報告、論文を調べても、大きなトラブルはほとんどございません(熱傷や神経障害の報告が少数あります)。一過性の浮腫(上肢・体幹含む)、疼痛や圧痛、皮下出血、腋の部分の感覚の変化や小結節(しこり)、硬化、色素沈着が発生することがありますが、ほとんどの場合、経時的に改善していきます。
きわめて稀ですが、治療1~2週間後に感染症・膿瘍が生じることがあります。当クリニックでも経験がありますが(0.5%未満)、切開を伴う処置が必要になることがあります。また、自己冷却時に保冷剤を直接長時間腋にあてたために凍傷が生じた例もございますので、ご注意ください。
Q. 手の多汗症やスソワキガも治療できますか?
A. ミラドライは、ワキの部分のみに対応して創られた機器ですので、他の部位の治療は安全性が担保されていません。よって当院では行いません。
Q. ミラドライ後、しびれが残ることはありますか?
A. 治療部位から肘付近までの皮膚の知覚が、治療後6か月~1年の間、若干鈍くなることがあります。当クリニックではありませんが、神経障害により筋力の低下が生じたとする報告が数例あります。
Q. ミラドライの治療で出血はありますか?
A. 麻酔注射をする時に、針穴から若干の出血をみることがありますが、治療中や治療後に出血することは通常ありません。ただし、治療時の安全性を高めるため、皮膚を吸引しながらマイクロ波を照射するシステムのため、皮下出血(内出血)が生じることはあります。皮下出血は2週間ほどで消失します。まれながら、治療後の急激な上肢の動きにより血種が生じたとする報告があります。
Q. 腫れは目立ちますか?
A. ワキにボールを挟んでいるような感覚になるほど腫れることが多く、同時に腕や胸部・腹部にもむくみが生じます。そのため治療後1週間ほどは、肩回りがゆったりとした長袖の服をお召しになるのをお薦めします。1週間経過すれば、かなり改善しますが、自覚的には1か月ほど上肢や体幹のむくみをお感じになる場合があります。
Q. ミラドライ治療後、旅行を計画しています。友人と温泉に入るかもしれないのですが、大丈夫でしょうか?
 
A. 治療後、約1週間、ワキや腕に腫れが生じます。腫れが顕著な間は、湯船につかったり、お酒を飲んだり、運動はしないでください。さらに強い腫れが生じたり、腫れが長引くことがあるからです。1週間以上あけていただければ、かなり腫れは落ち着きますが、ワキの皮膚の凹凸(小結節、小腫瘤)は数か月ほど残る場合がありますので、旅行のスケジューリングは、十分に余裕をみられてください。
Q. ワキの部分の汗や臭いが減ると、他の部位の汗や臭いが増すようなことはありませんか?
 
A. 手の多汗症の治療(胸腔鏡下胸部交感神経切離術)では、きわめて高率に他部位の汗の量が増える(代償性発汗)がみられます。一方、ミラドライの場合、腋の部分にあるエクリン汗腺とアポクリン汗腺のみを破壊する治療で、神経を対象とする治療ではありませんので、特定の部位の汗が増えることはございません。
同様に、腋臭が改善した分、他の部位から腋臭のような臭いがするようになることはありません。
Q. ミラドライ治療後、臭いが変わって、それが気になるということはありませんか?
 
A. 臭いの問題は非常にデリケートです。腋臭の方が、普段お感じになっている臭いは、いわゆる腋臭の臭いとそれ以外の体臭が混ざり合ったものです。ミラドライにより、腋臭は改善しますが、体臭は変わりませんので、ワキガの臭いが減った分、これまでより体臭がクローズアップされて感じられることは確かにあります。しかし、それは客観的には治療対象になるような不快なものではなく、あまり気にされない方がいいでしょう。
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