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​多汗症・腋臭症
​多汗
​エクリン汗腺
水を主成分とする汗を出す汗腺(エクリン汗腺)は、体温を調整したり、皮膚の保湿を行うという非常に重要な役目を担っています。全身に分布し、その数は200~300万個と言われています。安静時でも1日1L(リットル)程度の汗をかきますが、最大発汗量は、1時間あたり3Lにも達します。
​多汗症とは?
多汗症とは、エクリン汗腺の機能亢進により、体温調節に必要な量を越えて大量に汗が出る状態を指します。組織学的にはエクリン汗腺のサイズの増大とアセチルコリン感受性の亢進が見られます。
​多汗症の種類
多汗症には全身性のもの、局所性のもの、また、何らかの病気により二次的に起こっているもの、原因不明のものなどに分けられます。 なお、手掌、足底のエクリン汗腺は体温調整のためではなく、精神的な緊張を強く感じた時に発汗するという特徴があり、精神性発汗と呼ばれています。ワキの場合は特殊で、体温調節に関わるだけでなく、精神性発汗もあります。
腋臭
​原因
「腋臭」とは、ワキにあるアポクリン汗腺から出た汗や皮脂が、皮膚常在菌によって揮発性ステロイド、低級脂肪酸、不飽和脂肪酸などに分解されて、特有の臭いを生じるものです。アポクリン汗腺は、ワキの他には、乳輪や陰部など限られた場所に存在します。
​発症
通常、ワキ毛が生えはじめる思春期に発症し、20代の頃にピークを迎えます。その後、壮年期以降は軽快する傾向にあります。なお、成人になってから、突然、腋臭が発症することはありません。
​遺伝
優性遺伝であり、両親のうち少なくとも片方が「腋臭」もしくは「湿った耳垢」を有しています。ちなみに「湿った耳垢」と「腋臭」は高い相関がありますが、耳垢が湿っているからといって、必ずしも「腋臭」があるわけではありません。
​頻度
人種により腋臭の発生頻度は異なり、日本人の場合は10%程度というデータがあります。腋臭が多数派を占める欧米とは異なり、日本の場合、少数派ゆえ臭いが問題になる場合があり、仕事や社会生活上の支障が生じて、深くお悩みになるケースをしばしば見受けます。
​多汗症・腋臭症の治療について
​従来の治療法
多汗症、わきが治療として、せん除法やキューサー法、クワドラカット法などの手術療法およびボツリヌストキシン注射(ボトックス注射)が以前より行われていました。手術療法は、ダウンタイム(術後、通常の生活に戻ることができるまでの期間)が長く、血腫、皮膚壊死などのトラブルも少なからずあり、傷跡も残るため、お受けになる方に多大な心身の負担を強いるものでした。一方、ボツリヌストキシン注射は、負担こそ手術療法に比して少ないものの、効果が数か月から半年程度と一時的なものです。
​ミラドライ治療
2010年に米国Miramar社が、メスを使うことなく、多汗症・腋臭症に対して半永久的な効果が得られる「ミラドライ」という医療機器を開発しました。この機器はマイクロ波の特性を利用して、多汗症、腋臭症の原因である、エクリン汗腺とアポクリン汗腺を選択的に破壊することが可能です。2011年に、FDA(米国の厚労省)に多汗症治療器として認可され、日本でも2018年に薬事承認を取得しています。日本、北米、欧州などに普及し、すでに約20万人の方がこの治療をお受けになっています。なお、現在、多汗症・腋臭症治療機器として公的に認可されているのは、この「ミラドライ」だけです。
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