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​サーマクール

サーマクールは、6.78 MHzのモノポーラRFを用いた、非侵襲的なたるみ治療機器です。皮膚を切開することなく、真皮から皮下脂肪浅層にかけて制御された熱作用を与えるRF治療として20年以上にわたって世界中で使用されてきました。

RFによる熱作用は、真皮コラーゲン線維の収縮、線維芽細胞応答・細胞外基質の再構築、皮下支持構造の収縮に関与すると考えられています。

サーマクールは、顔貌を大きく変化させる治療ではありません。外科手術のように皮膚やSMASを直接移動させる治療ではなく、RFによる電場駆動性の熱作用を介して、真皮・皮下脂肪浅層・線維隔壁を含む支持構造に変化を促す治療です。

そのため、適応となるのは、強いたるみを一度で大きく変える治療を希望される方ではなく、皮膚から皮下浅層にかけてのゆるみ、フェイスラインのもたつき、頬下部の重さ、軽度から中等度の輪郭の不明瞭化に対して、自然な引き締めを希望される方となります。

サーマクールは、米国FDAの510(k)クリアランスを受けているRF治療機器です。日本国内では医薬品医療機器等法上の承認を取得していない医療機器に該当するため、当院では自由診療として、医師の責任のもと使用しています。

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​適応、症状
● 頬がたるんできて、ほうれい線が目立つ
● フェイスラインがぼやけてきた
● 下顔面の重さ、ジョール、二重顎様のたるみ
● 皮膚のハリ、弾力の低下
● 頬や口周囲の軽度から中等度のゆるみ
● 毛穴を引き締めたい
● 真皮から皮下脂肪浅層を中心とした引き締めを希望する場合
● HIFU、ソフウェーブ、韓国系RF等とは、異なる治療機器を検討している場合
​​サーマクールの加熱理論
​電磁気学的なお話になります。ご興味がある方は、最後にまとめましたのでご覧ください。
​サーマクールの特徴
6.78 MHzモノポーラRFによる熱作用
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サーマクールは、6.78 MHzのモノポーラRFを用います。

RFエネルギーは、治療チップ、カップリング媒体、皮膚、皮下組織、リターンパッドを含む電気的経路を介して組織へ伝達されます。

サーマクールでは、表皮を冷却しながら、チップから組織へRFエネルギーを伝達し、皮膚接触をモニターし、組織インピーダンスに応じてRF チューニングを行います。

ここで重要なのは、RF治療の結果は「何MHzのRFを照射したか」だけでは決まらない、という点です。

実際の温度分布は、電極構造、チップ接触、カップリング状態、接触インピーダンス、組織インピーダンス、導電率、誘電率、熱伝導率、血流、表皮冷却、照射密度によって決まります。

したがって、重要なことは、機器の出力等単一の要素ではなく、個々の顔面構造に対してどのように電磁エネルギーと熱量を配分するかです。

即時的効果

RFによる熱作用により、真皮および皮下脂肪浅層のコラーゲン線維が収縮し、治療直後から軽度の引き締まりを感じることがあります。

ただし、直後の変化には、一時的なコラーゲン収縮だけでなく、熱による組織の緊張、軽度の浮腫、局所循環変化も含まれます。そのため、治療直後の見た目をもって最終的な治療効果と判断することはできません。

​長期的効果(本来の効果)

サーマクールの本来の効果は、治療後数週間から数か月をかけて進行する組織リモデリングです。

熱刺激により、真皮のコラーゲン再構築、線維芽細胞応答、細胞外基質の再編成、皮下線維隔壁の収縮が生じると考えられます。これにより、皮膚のハリ、フェイスラインの引き締まり、下顔面のもたつきの軽減が期待されます。

一般的には、治療後1か月頃から変化を感じ始め、3か月前後でより実感しやすくなります。効果の持続は個人差がありますが、半年から1年程度を目安に次回治療を検討します。

フェイスライン、下顔面、頬下部への作用

サーマクールは、真皮だけではなく、皮下脂肪浅層、線維隔壁、皮膚支帯(retinacular cutis)を含む支持構造にも熱作用を及ぼします。そのため、フェイスラインの不明瞭化、頬下部の重さ、口横のもたつき、顎下の軽度なたるみに対して適応となります。

一方で、脂肪量が少ない方、頬がこけやすい骨格の方、頬骨下の陥凹が目立つ方では、照射部位と照射密度を慎重に設計する必要があります。

サーマクールは脂肪溶解治療ではありませんが、皮下脂肪浅層および線維隔壁への熱作用により、結果として頬のボリューム感が変化したように見える場合があります。

当院では、頬を引き締めるべき症例と、頬のボリュームを温存すべき症例を区別したうえで治療を行います。

肌のハリ、毛穴、皮脂への副次的効果

真皮への熱作用により、肌のハリや毛穴の印象に副次的な改善を認めることがあります。

ただし、サーマクールは毛穴治療、ニキビ治療、皮脂治療を主目的とする機器ではありません。毛穴、肌質、ニキビ跡、皮脂分泌を主目的とする場合には、ジェネシス、フラクショナルレーザー等、目的に応じた治療を優先することがあります。

​痛みに関して
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サーマクールは、従来機よりも治療時の快適性に配慮された機種ですが、無痛の治療ではありません。

照射時には、熱感、圧迫感、振動感を伴います。特に、顎、フェイスライン、頬骨周囲、額など、骨に近い部位では疼痛を感じやすい傾向があります。
 

治療用ハンドピースの振動機構は、痛覚入力を緩和する目的で使用されます。これは一般にゲートコントロールセオリーとして説明される疼痛抑制機序と関連します。

また、照射時には表皮冷却が行われます。表皮冷却は、単に痛みを軽減するためだけではなく、皮膚表面の過剰加熱を抑え、真皮から皮下脂肪浅層への熱作用を成立させるうえでも重要です。
 

当院では、患者様の反応を確認しながら、熱感、疼痛、皮膚反応に応じて設定を調整します。

​当院の特徴

サーマクールは、同じ機器を使用しても、適応の判断と照射設計によって結果が変わる治療です。

当院では、院長が診察、治療計画、照射、アフターケアまで一貫して対応します。
 

診察では、以下の点を評価します。

● たるみの主座が、皮膚、真皮、皮下脂肪、線維隔壁、SMASのどこにあるか
● 頬の脂肪量、脂肪配置、こけやすさ
● フェイスライン、顎下、下顎角、口横の形態
● ほうれい線、マリオネットライン、jowlの程度
● 皮膚厚、弾性、熱治療への反応性
● 過去のHIFU、RF、スレッド、注入治療歴
● 治療により変化させたい部位と、変化させたくない部位

特に、頬がこけやすい方、脂肪量が少ない方、過去にHIFUやRFを頻回に受けている方、スレッドリフトや注入治療歴がある方では、照射設計に注意が必要です。

必要に応じて、サーマクールではなく、ソフウェーブ、ウルセラ、XERF、その他の治療を提案することがあります。

治療機器の性能だけではなく、適応を正確に見極めることが、たるみ治療では最も重要だと考えています。

​ダウンタイム・副作用・併発症など

治療後、一時的に赤み、熱感、軽い腫れ、圧痛、違和感が出ることがあります。多くは数時間から数日で軽快します。

直後からメイクは可能です。必要な方はメイクグッズをお持ちください。基礎化粧品は院内に常備しています。

治療当日は、長時間の入浴、サウナ、飲酒、激しい運動は控えてください。

その他、まれに以下のような副作用が生じることがあります。
● 痛み、圧痛
● 内出血
● 蕁麻疹様反応
● 水疱・熱傷・かさぶた
● 色素沈着
● 瘢痕
● しびれ、感覚変化
● 皮膚表面の凹凸
● しこり、結節
● 単純ヘルペスの再活性化

サーマクールは非侵襲的治療ですが、組織内に熱を発生させる医療機器です。熱傷、色素沈着、瘢痕、感覚変化等のリスクはゼロではありません。

当院では、皮膚状態、照射部位、接触状態、治療中の反応を確認しながら、安全性に配慮して治療を行います。

​治療をお受けになれない場合

以下に該当する方は、治療をお受けいただけない、または事前確認が必要です。

・ペースメーカー、植込み型除細動器、その他の植込み型電気機器が身体に留置されている方
・治療部位に金属プレート、金属糸、金の糸、溶けない糸などがある方
・妊娠中、授乳中の方
・糖尿病、自己免疫疾患、膠原病などがあり、創傷治癒に問題がある方
・ケロイド体質の方
・治療部位に感染、皮膚炎、開放創、強い炎症がある方
・治療部位に大きな瘢痕組織がある方
・最近、ヒアルロン酸、脂肪注入、スレッドリフト、肌育注射などを受けた方
・成長因子注入など、組織反応が読みにくい治療歴がある方
・他治療のダウンタイム中、またはトラブルが残っている方
・その他、医師が適応外と判断した場合

病気で加療中の方は、状況によって治療を行えない場合があります。診察時に必ずお申し出ください。

​Q&A
Q.効果はどれくらい持続しますか?
 
A 個人差がありますが、一般的には半年から1年程度を目安に次回治療を検討します。

持続期間は、年齢、皮膚厚、脂肪量、たるみの程度、生活習慣、過去の治療歴によって異なります。

Q.いつ頃から効果を実感できますか?

A.治療直後に軽度の引き締まりを感じることがありますが、本来の変化は数週間から数か月をかけて現れます。
Q.頬がこけることはありますか?
 
A.サーマクールは脂肪を大きく減らす治療ではありませんが、皮下脂肪浅層や線維隔壁に熱作用を及ぼすため、頬の脂肪量が少ない方、頬骨下の陥凹が目立つ方、もともとこけやすい骨格の方では、照射部位や照射密度によって頬のこけが目立つ可能性があります。

当院では、骨格、脂肪量、脂肪配置を確認し、こけやすい部位への過剰照射を避けるよう治療設計を行います。

場合によっては、サーマクールではなく、ソフウェーブ等、より皮膚側を主体とした治療を提案することがあります。

Q 治療後に腫れたり、赤くなったりしますか?
 

A. 一時的な赤み、熱感、軽い腫れ、違和感が出ることがあります。多くは数時間から数日で軽快します。

治療当日は、長時間の入浴、サウナ、飲酒、激しい運動は控えてください。

内出血が生じることはまれですが、皮膚の状態や治療部位によっては起こる可能性があります。

Q. どのくらいの間隔で受けるのがよいですか?
 

A. 一般的には半年から1年に1回程度が目安です。

ただし、たるみの程度、治療目的、他治療との併用、過去の照射歴によって調整します。過剰な頻回照射は推奨しません。

Q.サーマクールは毛穴には効果がないのでしょうか?

A.一定の改善を認めることはあります。

ただし、サーマクールは毛穴治療を主目的とする機器ではありません。毛穴、肌質、ニキビ跡、皮脂分泌を主目的とする場合には、ジェネシス、フラクショナルレーザー等、他の治療を優先することがあります。

Q.サーマクールとHIFU、ソフウェーブは何が違いますか?

A. サーマクールは、RFを用いて真皮から皮下脂肪浅層にかけて比較的広い熱作用を与える治療です。

HIFUは、高密度焦点式超音波により、より深い層に点状の熱凝固を形成する治療です。SMAS層や深部支持組織への作用を狙う場合に適しています。

ソフウェーブは、真皮中層を中心に加熱する超音波治療です。皮膚側の引き締めを主目的とする場合に適しています。

たるみの主座が皮膚なのか、皮下脂肪・線維隔壁なのか、SMAS層以深なのかによって、適した治療は異なります。

Q. サーマクールの後に行った方がよい治療はありますか?

A. 目的によります。

深部支持組織のたるみが強い場合にはウルセラ、皮膚側の引き締めを重視する場合にはソフウェーブ、肌質改善を目的とする場合にはレーザーやスキンブースターなどを組み合わせることがあります。

基本的には、一つずつ治療を行い、ご自身の反応を確認したうえで、必要に応じてコンビネーション治療を検討するのが合理的です。

​サーマクールの加熱理論
  1. 当該医療機器は周波数6.78MHzの容量結合型RF機器です。

  2. RF工学的には、生体組織は導電率と誘電率を併せ持つ不均質な損失性媒質として扱われます。交流電場に対する組織の応答は、複素誘電率または複素導電率によって記述され、発熱はその虚部、あるいは実効導電率として表現される損失項に対応します。つまり、導電損・誘電損、ジュール加熱・誘電加熱のような粗雑な二分法で語られることは、まずありません。
    しかし、美容医療の文脈においては、このような低レベルの議論が蔓延していますので、あえてわかりやすく、以下二分法も含めた説明をしています。

  3. この周波数帯は、生体組織に対してはジュール加熱と誘電加熱の両方が関与しますが、主たる加熱メカニズムはジュール加熱です。

  4. ジュール加熱とは、導電体内の荷電粒子(イオンなど)が電場によって運動し、その結果として分子間衝突が熱エネルギーに変換される現象です。電気抵抗は、このエネルギー損失のマクロ的な表現であり、荷電粒子の運動が周囲との衝突によって妨げられることに起因します。
    生体の場合、導電性の担い手は自由電子ではなく、ソディウムやクロライド等のイオンが主ですが、それらが電場の反転に応じて往復運動(振動あるいはドリフト運動)します。その際に、周辺の分子等の構造物に衝突し、そのエネルギー損失が熱に変換されます。
    当該周波数においては、生体内イオンが電場の変化に十分追従できるため(マクロ的には電流が流れ)ジュール加熱が生じることになります。
     

  5. 極性分子(主に水分子)は、交流電場の反転に伴い双極子モーメントの配向を繰り返します。この際、分子の配向運動が電場変化に完全に追従できずに応答の遅れが生じると、入力エネルギーの一部が散逸し、熱として失われます。この電気エネルギーの散逸特性が誘電損失(dielectric loss)であり、実際に生じた熱生成現象を誘電加熱(dielectric heating)と呼びます。
    生体内のバルク水の誘電緩和時間が約10ピコ秒、当該機器の周波数の反転周期が約147ナノ秒ですので、水分子はほぼリアルタイムで電場に追従できるため、分子配向遅延に伴うエネルギー散逸は極めて小さいと考えられます(複素誘電率の虚数成分が減衰しており、誘電加熱の寄与が限定的)。

    *きわめて単純に整理すると、
    イオン(点電荷)の並進運動と衝突によるエネルギー損失→ジュール加熱、
    双極子分子の配向過程での回転運動の遅れ(位相差)、分子間相互作用による散逸→誘電加熱。

    **  誘電加熱は、電場反転周期と極性分子の誘電緩和時間が一致する周波数帯において最も顕著となります。また、生体内の水に関して誘電緩和時間が約10ピコ秒と書きましたが、結合水や水和層ではより長くなる傾向がありますし、温度など様々な因子に影響を受けます(総体としてみた場合、誘電緩和時間には分布幅があり、厳密な解析には広帯域な誘電分散ーCole–Coleモデル等ーを踏まえた評価が必要となります)。

    厳密に言えば、生体組織における誘電応答は双極子緩和のみならず、構造緩和時間や振動緩和時間(条件によりフェムト秒オーダー)、さらにβ分散領域における細胞膜構造に由来する界面分極(Maxwell–Wagner polarization)など、複数の現象が関与します。これらは複素誘電特性に影響を与えるため、理論的には考慮すべき要素です。
    しかしながら、実臨床においては、これらの微細な誘電応答が加熱分布に及ぼす影響は限定的であると考えられ、実質的な熱伝達は主に導電率と電場強度に基づくジュール加熱が支配的となります。

    追記:容量性カップリングの意義は、単に「深部へRFを届ける」ことではありません。治療チップ、カップリング媒体、皮膚表面、皮下組織、リターンパッドを含む電気的経路のなかで、接触インピーダンスと組織インピーダンスを管理しながら、RFエネルギーを生体組織へ安定して伝達する点にあります。

    サーマクールでは、表皮冷却、チップ構造、カップリング状態、照射ごとのエネルギー制御により、表皮の過剰な温度上昇を抑えつつ、真皮から皮下浅層にかけて温熱作用を及ぼすことを目指します。

    生体組織において、古典的な意味でのskin effectを主要な機序としてRFの深達性を説明するのは適切ではありません。実際の加熱分布は、導電率、誘電率、組織構造、電極配置、接触条件、冷却条件、熱拡散によって決まります。

​cf より専門的なまとめになります。
​  右はセミプロ向け 

 なぜ線維隔壁周囲に熱作用が生じやすいのか

顔面の皮下組織は、均質な脂肪塊ではありません。脂肪小葉、線維隔壁、retinacular cutis、血管、結合組織が三次元的に分布する複合組織です。これらの組織は、導電率、誘電率、含水率、熱伝導率が均一ではありません。

RF照射時には、導電率や誘電率の異なる組織境界で、電場と電流密度が再分配されます。脂肪と線維隔壁の界面では、電気物性差と幾何学的異方性により、局所的に電場が強くなる領域が生じえます。

発熱密度は、近似的には以下に比例します。

         q∝σ∣E∣²

そのため、電場が局在化する領域では、相対的に発熱が強くなります。

線維隔壁周囲の温熱作用は、単に「線維は導電率が高いから熱くなる」という説明では不十分です。導電率・誘電率の空間勾配、電場分布、線維構造の異方性、表皮冷却、熱拡散を含めた境界条件の問題として理解する必要があります。

この線維隔壁および皮下支持構造への熱作用が、フェイスラインや下顔面の引き締まりに関与すると考えられます。

*使用機器について


サーマクールは、日本国内において医薬品医療機器等法上の承認を取得していない医療機器です。
当院では、医師の判断のもと、適切な手続きを経て本機器を導入し、自由診療として治療を行っています。
本機器は、米国においてThermage FLX System and AccessoriesとしてFDA 510(k)クリアランスを受けています。なお、FDA 510(k)クリアランスは、日本国内における薬機法上の承認とは異なります。
未承認医療機器を用いた自由診療では、万一副作用や健康被害が生じた場合、公的な救済制度の対象とならない場合があります。
治療の詳細、リスク、代替治療については診察時に説明いたします。

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