フラクセル3デュアル
フラクセルは、フラクショナルレーザーとして最も長い歴史を持つ機種で、2004年米国にて開発されました。治療の概念としてはリサーフェシング(表面を新しくする・整える)に分類され、特にフラクショナルリサーフェシングと呼ばれています。
レーザーにより皮膚をドット状に熱変性させ、その後の創傷治癒(傷が治る)過程によって、皮膚の様々な症状を改善に導くものです。
フラクセルは、数度のバージョンアップを経て、現在では2波長のレーザーを搭載し、フラクセル3デュアルに進化しました。
フラクセル3は、当院の他のフラクショナルレーザー治療であるブリッジセラピーと異なり、皮膚をアブレージョンしない(削らない)ので、ノンアブレイティブフラクショナルレーザーに分類されます(厳密に申し上げれば、新たに搭載された1927nmのレーザーは軽度のアブレージョン作用があります)。
当該機器は、FDA(米国食品医薬品局)の承認を得ていますが、本邦では未承認です。医師が海外から個人輸入をしています。

フラクセル3デュアルの特徴
フラクセル3デュアルは1550nmのエルビウムグラスファイバーレーザーと1927nmツリウムグラスファイバーレーザーの2つの波長のレーザーが搭載されています。
波長1550nmのレーザーは、エネルギーに依存して組織への深達度が増し、最大1.3~1.4mmまで熱作用を及ぼしますが、波長1927nmのレーザーの方は、0,2~0.25mmまでの比較的浅い層に留まります。これは、それぞれの波長の水の吸収係数が異なるためです。
この1927nmのレーザーの特性により、真皮浅層までのリサーフェシングを比較的高いカバー率*で行なうことができ、そのため、以前の機種に比して、1回治療あたりの改善率が高くなりました。
治療概念上、複数回の治療が前提となります(治療間隔は1か月半以上)。必要回数は各人の症状により異なりますので一概には申し上げられません。
*カバー率 治療対象となる皮膚面積のうち、レーザーによる熱作用で組織が変性、蒸散する面積の比率)

適応、症状
色素性病変、ニキビ痕、毛穴ほか肌質の改善が期待できます。
皮膚表層のトラブル(色調の問題など)に対しては、主に1927nmの波長のレーザー用いて治療し、ニキビ痕のように、表面だけでなく皮膚の比較的深い部分に問題がある病態には、1550nmと1927nmの両波長のレーザーを組み合わせて治療します。
各人の症状に応じて、また許容できるダウンタイムに応じて、セッティングを行い治療を施します。
(色素班に関しては、他治療-光治療などーが第一選択となりますので、診察の上、ご説明・ご提案いたします)
ダウンタイム、併発症
・治療直後から赤み、軽度の浮腫が生じ、翌日にはごく小さなカサブタ(マイクロクラスト)が治療部位全体に生じます。特に、波長1927nmのレーザーを使用した場合は、比較的目立つ赤茶色~白色のマイクロクラストが生じます。
・マイクロクラストはや5~7日ほど残存しますが、自然脱落が理想ですので、自分で剥かないようにしてください。
また、マイクロクラストが残存している間は、基本的にお化粧は推奨しません。
・治療後2~4週間後に、色素沈着が生じたり、肝斑が悪化することがあります。
・治療後、まれにニキビが多発することがあります。
注意事項
・ピーリング作用のある化粧品やトレチノイン治療・ビタミンA誘導体を含む化粧品は2週間前から中止してください。
・ヒアルロン酸やボトックスなどの注入治療の後は、腫れが引くまで(2週間程度)治療はお受けになれません。
また、光治療や他のレーザー治療からのインターバルは、 治療内容によって違いがありますので個別にご相談ください。
治療をお受けになれない場合
・妊婦の方、授乳中の方
・リドカイン(麻酔薬)アレルギーのある方
・ケロイド体質の方や傷の治りが悪い方
・日焼けをされている方。治療後日焼けをする可能性がある方。
・光線過敏症の方や光感受性の強い方。また、光線過敏症を起こす薬剤を使用中の方。
・過去1年以内にイソトレチノイン(ビタミンA内服薬)を内服した方
・加療中の病気がある方
・金の糸が入っている方、成長因子の注入療法を受けたことがある方。
・その他、医師が治療の適応がないと判断した場合。
治療費
全顔 80,000
両頬 60,000
首 40,000
麻酔代 2,000